ビタミンの種類とその効果、ビタミンの過剰摂取について
ビタミンの働き
ビタミンには水に溶けやすい水溶性の物と、脂に溶けやすい脂溶性の物があります。かつては加熱により壊されてしまうビタミンがあるので野菜は生で食べる方が良いと言われたりしましたが、生野菜は吸収率という点においてはあまり良くないようです。
人間の消化酵素では植物の細胞壁のセルロースを分解することができません。そのため細胞内にあるビタミンなどの栄養素の吸収は悪くなります。
加熱したりミキサーやジューサーで力学的にセルロースを破壊することにより吸収率があがります。βカロチン(脂溶性)の場合、生で10%、擦り下ろすと30%、茹でると50%、油で炒めて80%程度の吸収率になるといわれています。
熱に弱いとされているビタミンCでも加熱による損失は10%程度であるというデータもあるので、あまり気にする必要はないかもしれません。ただし茹でた場合、水溶性のビタミンは半分程度が茹で汁に流出するので注意しましょう。
ビタミンA
脂溶性のビタミンです。A1とA2がありますが、栄養素としてビタミンAという場合はA1を指します。にんじん、カボチャなど緑黄色野菜に含まれるβカロチンは体の中で必要な分だけがビタミンAに変換されるので過剰摂取による副作用の心配がありません。
ビタミンAを含む食材
レバー、チーズ、卵、にんじん、カボチャ、ほうれん草など。
ビタミンAの効果
- 夜盲症(トリ目)の予防など目の健康を守る
- 粘膜を強くする
- 免疫力の向上
- 肌の保湿力を高める
ビタミンAが不足すると
- 夜盲症
- 免疫力の低下で病気になりやすい
- 子供の場合は成長障害
過剰摂取
頭痛、吐き気など。通常の食生活では心配ありません。サプリメントの場合も推奨量を間違えてチョット多めに飲んでしまったくらいでは問題ありません。妊娠中の過剰摂取は胎児に影響を及ぼす場合があるようなので摂取量を守るようにして下さい。
ビタミンB
水溶性のビタミンです。いろいろな種類があり、まとめて「ビタミンB群」と呼ばれます。サプリメントで摂取する場合は、それぞれの種類を単体で摂るよりも「ビタミンB群」として摂る方が効果が高いようなので、そちらのタイプをおすすめします。
ビタミンB群の種類と効果
- ビタミンB1
- 豚肉や大豆、枝豆、玄米、もやし、ほうれん草などに多く含まれます。炭水化物(糖質)を分解しエネルギーを作るときに補酵素として働きます。
- ビタミンB2
- 乳製品、豆類、レバーなどに多く含まれます。脂肪を分解しエネルギーを作る時に特に必要とされます。皮膚や爪などの健康を守りますので美容にも役立ちます。このような効果からダイエット中の女性には特に嬉しい成分ではないでしょうか。不足すると口内炎になりやすくなります。
- ビタミンB3(ナイアシン)
- 炭水化物(糖質)、脂肪の分解を助けます。アルコールを分解する時にナイアシンが必要になるので、二日酔いに有効です。皮膚や粘膜を正常に保ちます。
- ビタミンB5(パントテン酸)
- 炭水化物(糖質)、脂肪の分解を助けます。抗ストレス作用もあります(副腎皮質ホルモンの分泌を促す)。
- ビタミンB6
- タンパク質→アミノ酸、また、アミノ酸→別のアミノ酸への組み替える時の酵素の働きを助ける補酵素として働きます。アスリートの方は特に大切にしたいビタミンです。
- ビタミンB12
- 肉、魚、乳製品などに多く含まれます。赤血球の合成を助け、貧血を予防します。
- 葉酸
- 赤血球を合成する酵素の補酵素として働き、貧血を予防します。皮膚や爪などの健康を守ります。
- ビオチン
- 炭水化物(糖質)、脂肪の分解を助けます。皮膚や爪などの健康を守ります。
ビタミンC
水溶性のビタミンです。ビタミンの中でも重要とされるものの一つです。運動強度の高い方や喫煙者は特にビタミンCが不足しやすいので、食事+サプリメントで多めに摂ることをおすすめします。
ビタミンCを含む食材
柑橘類、アセロラ、イチゴなどの果物、トマトやピーマンなど野菜類に多く含まれています。熱に弱く、加熱すると壊れやすいのでサラダやデザートとして生の野菜や果物を多く摂ると効果的です。
ビタミンCの効果
- 免疫力を高め風邪や病気などを予防する
- コレステロール値を下げる
- 発ガン性物質から守る
- アレルギー反応を穏やかにする
- 肌の荒れや歯茎からの出血を防ぐ
などがあり、他にも爪や肌を綺麗にするコラーゲンが体内で合成される際にビタミンCが必要になります。
ビタミンCが不足すると
- 肌が荒れる
- 風邪をひきやすくなる
- 怪我の治りが悪くなるなど
過剰摂取
余剰分は尿で排出されるため過剰摂取の心配はありません。
ビタミンD
脂溶性のビタミンです。食材から摂取する他に日光を浴びることによって体内で合成されます。加齢により体内での合成量は減少します。
ビタミンDを含む食材
魚、卵、キノコ類など。
ビタミンDの効果
カルシウムの吸収を促進し、丈夫な骨を作る
ビタミンDが不足すると
- カルシウムの吸収が悪くなり骨が脆くなる
- 筋力が低下する
過剰摂取
ビタミンDの過剰摂取は、高カルシウム血症や腎障害を引き起こす可能性があります。
ビタミンE
脂溶性のビタミンです。アンチエイジング効果があり美容にも有効です。同じ抗酸化作用のあるビタミンCを一緒に摂ることにより、抗酸化力が高まります。
活性酸素と結合して無害化したビタミンEは抗酸化力を失ってしまいますが、ビタミンCがこの無力化したビタミンEに再び抗酸化力を与えてくれます。
ビタミンEを含む食材
ドレッシングやなたね油などの植物油や、すじこ、いくら、うなぎ、鯛、卵などに含まれています。アーモンドなどのナッツ類には特に多く含まれています。
ビタミンEの効果
- 抗酸化作用(老化=酸化を抑制)があります
- 血液の流れを良くする
- LDLいわゆる悪玉コレステロールですが、この値を下げる働きがあります
ビタミンEが不足すると
- 血行障害
- 肩こり、冷え性
- 肌のシミなど
過剰摂取
以前はビタミンEは余分な分は排泄されるため体内にとどまる時間が短く過剰摂取による副作用はないとされていましたが、最近では過剰症があるという研究報告もあるようですが、因果関係がハッキリしない部分もあるそうです。